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星名家住宅

星名家の先祖は中世末期に信濃保科から移り住んだと伝えられ、近代まで魚沼地方における大地主でした。江戸時代には地主経営のほか酒造業、米殻商、質屋など手広く商いを行い、幕末には当地域を幕府から預かって統治していた桑名藩の内用達を務めていました。酒造業は明治32年(1899年)に廃止しました。

屋敷地は、信濃川左岸の河岸段丘を南北に通る小千谷街道(県道49号)の東側に広大な面積を占めています。主屋は街道に面して西面(平入)して建ち、その背後に屋敷地の南北境界に沿って、北側に米蔵(一号蔵)、米蔵(二号蔵)、質蔵(三号蔵)、南側に宝蔵(四号蔵)、家財蔵(五号蔵)、雑蔵(六号蔵)が三棟ずつ軒を連ねて一列に建ち並んでいます。このほか敷地ほぼ中央に茶室、南西に書斎があり、敷地境に石垣を廻らしています。

新潟県における大地主層の住宅遺構として価値が認められ、主屋、土蔵六棟(脇中門を含む)、および宅地5,400平方メートル余り(茶室、書斎、井戸、周囲石垣を含む)が重要文化財に指定されました。

また、国道252号を挟んだ南側の雑木林に雪穴があり、酒造関連の遺構として国の登録有形文化財に登録されています。

平成16年(2004年)10月の「新潟県中越地震」において被害を受け、同17年(2005年)3月から23年(2011年)3月までの73ケ月を費やして災害復旧、保存修理工事を行いました。

  1. 種別 重要文化財(建造物)
  2. 名称(読み) 星名家住宅(ほしなけじゅうたく)
  3. 記号・番号 建2256号
  4. 所在地 十日町市上野甲1045番地
  5. 所有者 星名四郎
  6. 指定日 平成3年5月31日

主屋

主屋は天保6年(1835年)に前身の主屋が火災で焼失した後、建設にとりかかり同13年(1842年)に上棟しました。主屋は規模が大きく、周囲の庇を含めて桁行17間、梁間は下手のミセ、ダイドコロ部分で10間半、座敷部分で8間あり、背面中央部に裏中門が突出しています。屋根は切妻造、鉄板葺(当初こけら葺)です。
ダイドコロおよびチャノマは非常に広く、太い柱や背の高い差物を用いて軸部を固めています。ダイドコロでは梁組を見せ、チャノマは高い位置に竿縁天井が張られており、この部分はこの建物の見どころのひとつとなっています。
座敷部の各部屋は内法長押、蟻壁長押を廻し、欄間を入れ、竿縁天井を張り、最も奥の部屋はトコ、棚、書院の座敷飾りをそなえた整然とした書院造の座敷となっています。

土蔵(6棟)

米蔵2棟、質倉1棟、宝倉1棟、家財倉1棟、雑倉1棟で構成されます。土蔵はすべて切妻造の2階建てであり、移築の際に改造が加わった一号蔵以外の土蔵はいずれも、内部の中央に太い柱を立て棟木を渡す構造で、梁や主屋を用いていない構造となっています。

重要文化財 星名家住宅 一覧表

名 称 員 数
主屋 1棟
附 家造立諸入用仮控 1冊
附 棟上祝 1冊
附 家移祝儀受納扣 1冊
附 棟札 2枚
附 絵図 1枚
米蔵(第一号蔵) 1棟
附 銘札(旧柱材) 1枚
附 土蔵二戸前普請諸色留帳 1冊
附 第一号蔵改築記 1冊
米蔵(第ニ号蔵) 1棟
附 土蔵造立諸色入用牒 1冊
質蔵(第三号蔵) 1棟
附 質蔵普請書色扣 1冊
宝蔵(第四号蔵) 1棟
附 土蔵敷替普請見舞受納記 1冊
附 上等土蔵上棟帳 1冊
附 普請記録 1冊
附 脇中門 1棟
家財蔵(第五号蔵) 1棟
附 土蔵新築記 1冊
雑蔵(第六号蔵) 1棟

宅地及び畑 5,400.29㎡
周囲の石垣、茶室、書斎、井戸を含む