旧村山家主屋・表門
松之山地域を代表する旧家、村山家は700年以上の歴史を有し、現在、主屋は大棟山美術博物館として公開されています。博物館の見どころは、29世(村山政栄氏)、30世(村山眞雄氏)が収集した書画・陶芸品や、200余年の風雪に耐えた邸宅と広大な庭園、文学者坂口安吾の遺品などです。
主屋は南北20.907m(69尺)、東西17.574m(58尺)の広さで、木造二階建切妻造浅瓦葺妻入です。また、東側正面に入母屋造妻入の玄関庇が設けられています。
この主屋は、宝暦5年(1755)の火災後に建てられ、その後、大正、昭和23年(1948)、昭和63年(1988)に改築されました。ケヤキ一枚板の廊下を配するなどいたるところに良材が使用されています。また、天井が高い客用の書院座敷、各種の格天井、襖絵をもつ和室、箱階段、造り酒屋の跡を偲ばせる茶の間から広い三和土(たたき)などが特徴的です。間取りは、妻入りの形式を用いながら表と裏、上と下、客用や内向き用の区分を独自の間取りで構成しています。
往時をうかがうことができる近代和風建築の粋を集めた建物であり、豪雪地域における特別な農家建築として、その歴史的価値が高く評価されました。
表門は高麗門形式、切妻造で、正面は東側を向いています。見えがかり材はすべてケヤキです。軒化粧垂木(たるき)は一軒平行繁(しげ)垂木で、材そのものに反りが入れられています。また、両妻面を彫刻蟇(かえる)股(また)で棟木(むなぎ)を、両端の桁(けた)は彫刻肘木(ひじき)で腕木(うでき)を支え、門の骨格は太く、扉板はケヤキの一枚板です。要所には、飾金具(乳金具・八双(はっそう)金具)が取り付けられるなど豪華な仕様となっています。
建てられた年代は大正9(1920)年と比較的新しい門ですが、材料はよく吟味され、建築手法も整っています。また、高麗門は本来、城門として建てられたといわれ、民家の表門としては稀少であり、豪雪地域を代表する表門として高く評価されました。
- 名称 旧村山家 主屋・表門
- 員数 2棟
- 指定番号 建第5号
- 指定年月日 平成28年3月28日
- 所有者 一般財団法人 大棟山美術博物館