一遍上人絵詞伝
伊予国(現在の愛媛県)に生まれ、浄土宗を修めたのち時宗を興した開祖、一遍上人の事績を記した巻物の模写です。
この絵詞伝の模写は、江戸中期の作と伝わっています。作者は不明です(※)。数百年前に絵の達者な土佐行光の弟子で、東京神田の荏原某が入手し、同家が所蔵していたもので、関東大震災(大正12年)の時に一部焼失しましたが、計8巻だけを持ち出すことが出来たといいます。第3巻は欠本、第10巻は一部のみ存在し、欠本となっていたので合併して第9巻としたと伝わっています。
1930年(昭和5年)に藤沢市にある時宗総本山、清浄光寺の山内眞浄院住職、原悦導師の斡旋により、来迎寺34代河野文乗師が寺の宝物として購入することになり、檀徒惣代島田金一郎氏の寄進となりました。しかし全幅に食害や汚損がはなはだしく、このまま維持できない状態だったので、島田氏と相談して再表装することにして、来迎寺の檀徒である本町1丁目の佐野為作氏が修理を行い、完成させました。
1979年(昭和54年)9月12日に十日町市の有形文化財(美術工芸品)に指定されました。
※模写本の中でも聖戒本と呼ばれるもの全12巻は、京都の歓喜光寺(かんきこうじ)と東京国立博物館(第7巻のみ)に所蔵されており、共に国宝「絹本著色一遍上人絵伝」に指定されています。
- 種別 十日町市指定有形文化財(美術工芸品)
- 名称(読み) 一遍上人絵詞伝(いっぺんしょうにんえことばでん)
- 記号・番号 絵・第1号
- 所在地 十日町市川原町 来迎寺
- 所有者 来迎寺
- 指定日 1979年(昭和54年)9月12日