久保寺南遺跡出土品
久保寺南遺跡は長野県境に近い信濃川上流左岸の河岸段丘上に立地します。この地域は日本列島で土器作りが開始された頃(縄文時代草創期)の遺跡が密集することで、考古学史的に大変有名です。
県営圃場整備事業に伴い、平成11年度に旧・中里村教育委員会が発掘調査したところ、縄文時代草創期前半(約16,000〜13,000年前)の生活跡である遺物集中地点17カ所を発見しました。遺物には、草創期に特徴的な隆起線文土器と石器がありました。
土器は、破片数1,500点、個体数にすると21個体の深鉢形土器が出土し、元の形まで復元できるものを2個体含みます。土器に付着した炭化物について放射性炭素年代測定および年代較正をしたところ、約15,000年前のものと分析されました。縄文時代草創期の遺跡から出土する土器の大半は小破片で、数量も少ないため、以上の成果は大変貴重なものといえます。
石器は1,810点出土しました。石槍、局部磨製石斧、打製石斧、掻器、削器、有溝砥石、敲石などです(*)。また、本遺跡で石刃の製作を行ったことを示す接合資料が多数確認されました。
縄文時代草創期の遺跡で土器と石器の組み合わせがよく分かる例は県内では稀少です。旧石器時代の移動生活を特徴づける石刃技術と、縄文時代を象徴する土器は、移動生活から定住生活への過渡期と位置づけられる縄文時代草創期の生活のあり方をよく表しています。
平成22年(2010年)3月23日に新潟県の文化財に指定されました。
*石槍(せきそう)・・・狩猟または儀礼具としての槍の先端部分
*局部磨製石斧(きょくぶませいせきふ)・・・先端部だけを研いである、木材加工具の先端部分
*打製石斧(だせいせきふ)・・・土堀具の先端部分
*掻器(そうき)・・・皮なめし具の先端部分
*削器(さっき)・・・削り具
*有溝砥石(ゆうこうといし)・・・矢柄研磨具
*敲石(たたきいし)・・・叩き具
- 種別 新潟県指定有形文化財(考古資料)
- 名称(読み) 久保寺南遺跡出土品(くぼでらみなみいせきしゅつどひん)
- 記号・番号 考・第34号
- 所在地 十日町市西本町1丁目382番地1(十日町市博物館)
- 遺跡位置 十日町市貝野字久保寺戌847番地ほか
- 管理者 十日町市博物館
- 指定日 平成22年3月23日