1. HOME
  2. アーカイブズ
  3. 本ノ木・田沢遺跡群

本ノ木・田沢遺跡群

信濃川と清津川の合流点付近に位置する、縄文時代草創期の生活文化を示す遺跡群です。

清津川左岸にある本ノ木遺跡(津南町に所在)は縄文時代の始まりを巡る論争の舞台となったことで知られています。調査区は2地点あり、段丘形成当初の自然堤防状の微高地において、15,000年前を遡るころに1,000点を超える槍先形尖頭器(やりさきがたせんとうき)の製作が行われたA地点と、12,700~12,500年前より前に起きた信濃川対岸からの山体崩落の後、押圧(おうあつ)縄文土器と剥片石器や磨製石斧が遺棄されたB地点とからなります。

清津川をはさんだ対岸には、田沢遺跡と壬(じん)遺跡(ともに十日町市に所在)が隣接して残されています。

田沢遺跡では隆起線文(りゅうきせんもん)土器、爪形文(つめがたもん)土器、押圧縄文土器が主に出土しました。

壬遺跡では下層から無文(むもん)土器、上層から隆起線文土器、円孔文土器、爪形文土器等が出土し、本ノ木遺跡における二つの時期の間に位置付けられます。

出土した石器からは、旧石器時代以来の移動生活に適した石刃技法(せきじんぎほう)が衰退し、有舌尖頭器(ゆうぜつせんとうき)等の各種尖頭器や石鏃(せきぞく)といった、両面加工技術で作られる石器が変遷する過程が分かります。また滞在場所(遺跡)が旧石器時代に一般的な丘陵上ではなく、河川の合流点に集中することから、温暖な完新世に先立つ頃に新たな環境への適応を開始したことが分かります。おそらく河川での漁労が集中的に行われたのでしょう。

本遺跡群は、晩氷期の気候変動によって新たに形成されつつある環境に人類がどのように適応したのかをよく表しており、旧石器時代から縄文時代への変遷を知る上で極めて重要です。

2019年(令和元年)10月16日に国の史跡に指定されました。

  1. 種別 史跡
  2. 名称(読み) 本ノ木・田沢遺跡群(もとのき・たざわいせきぐん)
  3. 所在地 十日町市干溝字中林ニ431-6ほか
  4. 面積 7245.65平方メートル
  5. 指定日 2019年(令和元年)10月16日