観泉院山門
吉祥山観泉院は、群馬県白郷井の雙林寺(そうりんじ)の末寺で、弘治2年(1556年)開創された曹洞宗の名刹です。
享保13年(1728年)火災に遭い、経蔵を残して一切が消失しました。同19年(1734年)まず本堂が再建され、明和4年(1767年)に現在の山門が建立されました。寺の記録により、これらの建造には、出雲崎の大工衆が建築に携わったことがわかります。
山門の形式は、切妻造の「一間一戸四脚門」。総欅、素木造で、禅宗様式を基調とし、良質な欅材の木目を活かした精緻な彫刻が随所に用いられた装飾豊かな建築です。
最大の特徴は架構で、高さの異なる親柱と控え柱を前半部は海老虹梁(えびこうりょう*)、後半部は水引虹梁と笈形(おいがた)で処理しており、二つの手法を一つの門で併用した極めて珍しい例です。
かつては萱葺きだった屋根は、現在は亜鉛鉄板葺に改められています。
この山門は、同時代の建物で同様の形式を持つ智泉寺山門(ちせんじさんもん)の、骨太で剛健な風情と比べると、やや細めの部材を用い彫刻が随所に施されているなど、江戸時代の中期の華やかな気風にあふれていて、妻有の近世寺院建築を語るに欠かせない建造物です。
平成7年(1995年)3月24日に十日町市の文化財に指定されました。
*エビのように湾曲した虹梁。側柱と本柱など、高低差のある所に用いる。唐様建築の特色のひとつ。
- 種別 建造物
- 名称(読み) 観泉院山門(かんせんいんさんもん)
- 記号・番号 建・第3号
- 所在地 十日町市馬場戌112
- 所有者 観泉院
- 指定日 平成7年3月24日