鎌倉時代末期〜南北朝時代の作品です。
左右の手をほぼ同じく屈臂(くっぴ)して、左手に蓮華を執り、右手の第1、第2指を捻じる姿は、鎌倉時代以降に表れれる形です。小太りな垂髻(すいけい:髪を根元とその上部で結って、髪束を垂らした形。)、長めの顔は、観音像としてはやや抑揚にかけることなどが特徴です。
左右相称的な体部から受ける端正な印象や引き締まった顔立ちや率直な衣紋彫りも、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけての特徴をよく示しています。鉄造としては緻密な出来で、作者の確かな技量をうかがえ、鋳造技術としても特筆されます。
1991年(平成3年)2月1日に旧・松之山町の文化財に指定されました。