水沢地区新宮・牧新田にある牧脇観音堂に本尊として祀られている聖観音像です。戦国時代末期の作です。
像高87.5cm、髪際高76.5cm、台座高22cmの寄木造。保存状態は良好ですが、元来白木であったものを昭和初めの長期御開帳の折に修理し、表面に塗りを施しています。
肉身を現さない着衣の聖観音像で、この様式は鎌倉時代に入宋僧によって採用されて以来、各地に造立されています。少し顎のはった平滑な面に細く見開く目や、やや厚い上唇をもつ整った面貌を持ち、形式に則りながらしっかりとまとめられていて堅実な作風が感じられます。
1572年(元亀3年)の縁起が残されており、調査によってもこの頃に製作された可能性が高いと判断されています。
なお、市内には江戸時代以前の仏像は極端に少なく、古代に遡る神宮寺の本尊と脇侍二天王像以後、江戸時代までの500年間を埋める数件しか確認されていません。江戸時代に近いとはいえ、この仏像は中世末の貴重な資料です。
像は厨子に安置されており祭礼時に開扉、公開されます。胎内に1寸3分ほどの仏像が納められていると伝えられています。
2001年(平成13年)に十日町市の文化財に指定されました。