木彫寄木で造られています。体躯全体が黒ずんでいますが、金箔仕上げがかすかに見られ、当初は漆をかけた上で金箔を張り仕上げた本格的な木彫像だったと考えられます。
印相(いんそう※)は浄土真宗の近世普通の上品上生印(じょうぼんじょうしょういん)ではなく、上品下生印(じょうぼんかしょういん)で、阿弥陀の来迎印です。
金泥による文様が衣に見られますが、江戸後期に修理したものと思われます。腕に関しては、上膊(じょうはく=上腕)部は当初のものですが、左右の手は後補の可能性もあります。また、頭頂には肉髻珠(にっけいしゅ)のあった痕跡があります。白毫(びゃくごう)は水晶です。
面貌は古風で、体躯の衣文の彫り上げなどからすると、中世の正当な様式を踏襲し、全体として室町時代後期(16世紀)の作風を示しています。近世以前の地方様式を遺す阿弥陀如来木彫像として貴重です。
※印相(いんそう) 仏教において、手の指で様々な形を作り、仏・菩薩・諸尊の内証を標示するもの。浄真寺の九品仏(くほんぶつ)の場合、阿弥陀如来の印相のうち、定印を「上生印」、説法印を「中生印」、来迎印を「下生印」とし、親指と人差し指(中指、薬指)を接するものをそれぞれ「上品」「中品」「下品」にあてる。