江戸時代、越後国魚沼地方を代表する特産物であった苧麻(青苧)織物、越後縮(えちごちぢみ)の裂(きれ)をはり付けた商品の見本帳です。
本資料は、当時、越後縮を取り引きしていた縮問屋の越前屋(蕪木家)のものです。越前屋は、十日町で最も古い縮問屋の一つで、宝暦年間(1751~1764年)には、越後屋(青山家)、松村屋(根津家)、丸屋(樋口家)、加賀屋(蕪木家)、最上家(上村家)とともに「六軒問屋」と呼ばれ、長く縮市場を支配していました。
この見本帳は、文化9年(1812年)と記されており、十日町に残る見本帳の中では最も古いものです。見本帳に貼付された220点以上の裂の中には、縞や格子、単純な経絣(たてがすり)や経緯絣(たてよこがすり)のほかに、具象的な紅葉、花、笹、鳥、流木などの絵絣(えがすり)もみえます。縮に絣文様が普及し始めた頃の発達の様子や色柄の変遷を知ることができる貴重な資料です。
昭和47年(1972年)11月28日に十日町市の有形文化財に指定されました。