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十日町織物歴代標本帳

 明治38年(1905)、日露戦争の戦費調達のために取引後の製品価格の一割を税金として課する「織物消費税」が交付されました。この査定資料として始まり、各年次ごとの主要品種の切れ地を綴じ込んだものが十日町市歴代織物標本帳です。

この標本帳には、明治42年(1909)から昭和13年(1938)までの30年間に作られた2,283点の製品見本が集録されています。標本帳の品種構成の変化を見ると、十日町産地の主力商品の変遷がよくわかります。
明治時代には透綾が最も多く、次いで明石ちぢみや絽・紋紗などが見られますが、大正時代になるとほぼ明石ちぢみで占められるようになっていきます。
昭和に入ると秋冬物の銘仙・お召・白生地などが登場し、夏物だけの生産から安定した通年生産へと転換が図られている様子がうかがえます。

消費者のニーズに応じて商品研究・開発が熱心に行われた、十日町産地の特性を目の当たりにすることができる貴重な資料です。(文化財課)