越後アンギンは、カラムシ・アカソ・イラクサなどの植物繊維を素材にして、簾や俵のように編んで作られた布のことです。袖無し・前当て・前掛け・袋など、さまざまな用途に使われていました。アンギンの語源は「編衣」あるいは「網衣」と言われています。
昭和29年、民俗学者の小林存氏によって津南町結東から発見され、その存在が明らかになるまで、文献上でのみ知られた「幻の布」でした。現在、アンギン製品や製作工具、製作技術が保存・伝承されているのは、全国的に見ても魚沼地方と東頸城郡にほぼ限定され、学術的にも大変貴重なものです。
呼称も地域によって異なり、十日町市の平地部・川西町・中里村・津南町ではアンギン、十日町市の山間地ではマギン(マンギン・マンギ)、松代町・松之山町ではバト(バトウ)、小千谷市・信州秋山郷ではバタと呼ばれています。
近年、各地の縄文時代の遺跡からアンギンと同じような組織や構造を持つ編布ぬの片が発見され、縄文時代にまでさかのぼる布としても注目されています。(文化財課)