笹山縄文カレッジ ドッキー作り
初のドッキー作り。
土器の破片にそっくりなクッキーを作ってしまおうという、なんともマニアックすぎる企画。
でも、5名のお客様が来てくださいました。
講師は「いおサポ」代表の阿部美記子さん。実に楽しい会でした。
指示に従って私も一緒に粉とかバターとか、コネコネしていましたら、
あっという間に制限時間いっぱいになってしまいました。
で、最後の間際に慌てて作ったのがこれ。
わかりますか。って、分かる人はまずいないと思いますが、
1 低い鶏頭冠(けいとうかん)の内面(一番でかい)
2 普通の土器の口縁部(左下)
3 三角形土偶(右下)
の3点です。
一番よくできたのは、2番目の口縁部。1番じゃないのが意外ですか。そうですか。
なにがよくできたって、裏を見ると実はちゃんと内湾していること、
その内面につくことがあるおコゲを克明に再現したことです。
きちんと再現を意識したこと、そこが肝です。
ペタッと置いて紋様づくりに夢中になっていると忘れがちな湾曲。
そして、使ったならつくであろうおコゲへの配慮。
ちゃんと土器の一部として作る、まさに匠の技です(自賛)。
じゃあ、そん内面が実際、どうなっているか・・・・
画像が一枚しか貼れない!ダメだ!見せられない!残念!(また、いずれ)
なお、今日の参加者は5名でした。
うち1人は3歳児。一生懸命に、なぜか「うさちゃん」を作ってました。
「みてー!」というので見ると、どう見てもスライムなので「うさぎじゃないじゃん」とツッコむと「げへへへへへ」とイタズラ笑いし、
しばらくするとまた「みてー!」というので、今度はできたかと思って見ると
そこには少しだけ形を変えたスライムがあるので「うさぎじゃないじゃん」とツッコ・・・(永久ループ)。
横にいらっしゃったお母様の手元を見ると、こちらはなぜか「ミニチュア土器」を作っていらっしゃいました。
なるほど。
今日は「血統」について勉強した気がします。
いおサポメンバーも1名、お手伝いに来てくださいました。感謝です。
調査員
(2017年11月26日)
▲このページのTOPへ
栽培って
青森県の有名な三内丸山遺跡の調査で貯蔵穴に入っていた大量のクリについてDNA分析したところ、自然のものに比べて多様性が乏しいことから、栽培されていた可能性が指摘されています。もう十数年前の分析結果です。
その後、じゃあ今度はクルミで、と二匹目のドジョウが狙われたわけですが、その結果はなんと「自然のもの」だったといいます。
三内丸山遺跡 特別研究
http://sannaimaruyama.pref.aomori.jp/special/koubo_shi.html
あんまり単純に「自然のもの」というと語弊があるので言い直すと、「すくなくとも栽培されたものといえる確実なDNA配列ではなかった」、というところでしょうか。
ともかく、有用な植物が何でもかんでも栽培の対象になっていたわけではないことが示されたといえるかもしれません。
一方、最近のマメ栽培の可能性については、最大の根拠が縄文時代中期から認められる土器圧痕の大型化です。栽培化の兆候の一つだからです。
実りのいいものだけを採って、大部分は食べてしまって、残りを撒く。そしてまたいいものだけを採って、、これを繰り返すと、実りのいいものだけが選ばれて(「人為選択」)、大きさを決める遺伝因子の変異のトリガーを引く可能性を高め続けることになる、ということだと思います。
もちろんマメからDNAが採取できればいいのですが、炭化しているマメが少し見つかることはあっても、大量に貯蔵されていた例はまだ見つかってないので、いまのところは圧痕の大きさだけが頼みの綱になっているのです。
他に方法はないだろうか。
DNAや大きさのような結果から考えることも大事ですが、そもそも栽培することの意義は何かを考えるところから始めることも大事です。
栽培する動機、それは、自然の状態から採取するよりも何かの理由で「良い」からだ、というふうに考えても許されるでしょう。
「良い」にもいろいろあって、採取にかかる時間の長さ(短いほうがいい)、収量(多いほうがいい)、気分(大きいほど爽快?)、政治的・宗教的観念(何かの秩序が守られる)などがあります。他にもあるでしょうし、そのどれかひとつだけとも限りません。
栽培実験が検証しているのは、このうち採取にかかる時間の長さと収量に関することです。これについてはだいたいの計測を終えてデータを作ることができましたが、もちろん、これだけでは検証にはなりません。自然のものと比較して本当に「良い」といえるのかどうかにかかっているからです。
クリの栽培についてもいえることですが、栽培する方が良いというのがあたかも自明のものとして価値づけされていることはないでしょうか。たとえば、栽培するということは、自然のものだけで足りなくなっているのかもしれず、つまりそれだけ自然に負荷をかけ続けてきたために自然のバランスを崩していることを暗示しているかもしれません。バランスを崩しているということは、長期的に見ると集落の将来が危ぶまれてくるかもしれません。かもしれませんかもしれません。
「良い」を決める際に、しらずしらずのうちに、現在の私たちに近づいていることを肯定的に捉える価値観が入り込んでいることもあります。何が「良い」といえるのか、その基準や尺度を間違えないようにしないと、縄文文化の実態をはかり間違えたりとか、いろいろ大変です。気をつけたいと思います(自分に)。
調査員
(2017年11月21日)
▲このページのTOPへ
縄文文化体験モニターツアー 縄文女子限定
縄文女子限定のモニターツアーが、
昨日は博物館、今日は笹山に来てくれました。
十日町市観光協会さんの主催のこの企画。
伊乎乃の里・縄文サポートクラブや笹山縄文の里さんと協力して、
笹山縄文館での解説やら拓本体験の講師やらをさせていただきました。
土器チョコも楽しんでいただけたようですし、よかったよかった。
遠くは佐賀県や愛知県からもいらっしゃっていて、その情熱に心打たれるものがありましたが、
普通に「格安の旅行」という興味で持ってきてくださった方もいらっしゃいました。
ありとうございました。またいらしてください。楽しみにお待ちしております。
終了後に、いおサポの方とミーティング。限定された興味に対応するのがいいのか、
それとも広汎な興味に対応するのがいいのか、いろいろと意見があるようでした。
全部をご用意できるものではないので、たしかに考えどころかもしれません。
初めての受託事業で大変でしたね。お疲れ様でした。
調査員
(2017年11月12日)
▲このページのTOPへ
根から「抜き取り」収穫・・・その結果。
今日の圧痕部は、ヤブツルアズキの収穫作業実験を行いました。
天気のよい昨日、畑全面の植物を抜くようにしてとってきたツル。
なんせ、ツルとほかの植物ばかりでなく、ツルとツルも複雑に絡み合っているために、ヤブツルアズキを株単位で抜き取ることは不可能に近く、結果的に範囲内で関係する植物を根こそぎ取ることになったのです。まるで網をめくるようにして、正方形の区画の一辺から巻きながらとってきたのでした。
その結果が上の画像。手前が最初に耕した方、向こうが耕さなかった方。ほぼ同じ量でしょうか。
それを今日、莢(さや)から種子を取り出すのにかかる時間を計測し、さらにひとつの株にいくつの莢がつくのかをカウント。
これで、ひとつの株につく莢から全ての種子を取り出す(脱粒)のにかかる時間が推測できます。
そして、5メートル四方に植えたヤブツルアズキすべてが発芽してサンプルと同等の数の莢ができたたと仮定し、脱粒にかかる時間を推測しました。
何時間だと思います?
35時間(古)
そんなに長くありません。もっと短い。一時、計算間違えによって得られた時間数を見て愕然としましたが、さっき誤りに気付いて直しました。よかったー、気付いて。
ただ、この範囲から得られるヤブツルアズキの総量は・・・いま乾燥中ですが、だいたいの目星はつきました。
これらの計算を終えて、今日、雨にもめげずに来てくれた笹山遺跡ボランティアさんと二人で目を見合わせました。
「マジか・・・・」
なんだか暗い気持ちに。
投下する労働量に対して、得られるものが、ちょいと少ない。そこまでして採って、土器の胎土にパサっと入れられたら・・・。
調査員
(2017年11月11日)
▲このページのTOPへ