水の道

調査員の阿部です。
今日は最高気温33度という予報で、始める前から「うへー」という気分でした。
案の定、午前中からひどい暑さで「うへー」となりつつも、一方でシルバー作業員さんたちの体調が心配になったりしつつ、途中で必要物品の買出しをしたり、博物館のお仕事を挟んだりして、なんだか気もそぞろな一日になりました。
今日は調査区の壁をだいたい削り終えました。
東側から西側に流れていた水の道の堆積物の断面が、東の壁と西の壁とにそって掘ったトレンチでそれぞれ確認できました。これは多分、今は陸上競技場の脇を流れている水無川(みずなしがわ)だろうと思います。笹山遺跡はもともと扇状地の中にありますから、川筋があっちへこっちへ動いていたのだろうと思います。今回のはそのひとつだろうと。
画像は、東側の断面です。小石がたくさん混ざっていて、黒い土の深さが中央に向かって下がっているのがわかるでしょうか。
あと、現在の段々畑のまえに、やっぱり土を切り盛りして、耕作土の下の黄色い土を削った痕跡が見つかりました。この黄色い土は、笹山では「2層」と呼ばれていて、中世の遺構がみつかる土です。
笹山では中世遺構が出る割に遺物が少ないと報告されいます。河川やこういう切り盛りも原因の一つじゃないかと思いました。
阿部
(2018年06月29日)
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発掘現場の生きものたち その3

調査員の阿部です。
今日の発掘は雨で中止です。
ちょっと降ったくらいで休めるかー!という気持ちはあるのですが、発掘調査は土を掘り、土に学ぶもの。その土のコンディションが悪ければ当然調査の成果が悪くなります。
やっつけ仕事をしてはいけません。ここは、じ〜っとじ〜っと我慢我慢なのです。
こういう日のためといってはなんですが、今日も生きものを紹介。画像は、たぶんアオダイショウさんです。毒はないそうですけど、まえに調査中に現れたシマヘビに追いかけられた記憶がよみがえり、遠巻きに撮影。小心者です。そのせいで肝心の頭部が写ってません。
表土掘削するショベルカーの運転手さんからも見えたらしく、「ほれ、あぶねっけ、あっちへいがっしゃい。」とばかりにバケットの甲で土ごとそ〜〜っとどかしてあげていました。なんだかホッコリしました。
ふと、ホビットの冒険に出てくるビヨルン(熊男)のセリフを思い出しました。客人のドワーフたちを目の前にしてこう言ってのけたのです。
「俺はドワーフが嫌いだ。欲深で、身勝手で、自分らより劣っているとみなした命に無関心・・・」
ビヨルンは礼儀正しさを重んじるというキャラ設定ですが、そのビヨルンをして本人たちを前にしこう言わしめた、そこに重みがつけられています。
自分らより劣っている命・・・。恐ろしさが心の底からじわじわとくるのを感じさせられた表現で、忘れられません。
調査員
(2018年06月28日)
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耕作痕

調査員の阿部です。
今日は天候が思わしくなく途中で終了しました。
博物館倉庫にあるありったけのブルーシートを持って行って敷いたのですが、全然足りなくて、みんなで失笑しました。買い足しが必要です。といってもまだ表土を取ったばかりなので、雨による損失はほとんどないと思います。
さて、画像は、現在の畑ができる前に行われた造成を遡る、畑の耕作痕跡です。黄色い土の中に、黒っぽい部分がぼんやり2列あるのがわかると思います。これが耕作痕跡。
黄色い土にゴボウ作付のトレンチャーとか鋤(すき)などが到達し、そこに上層の黒い耕作土が入り込んだためにこうした形で残っているのです。いつの痕跡なのだろう。周りの浮いた土を綺麗に掃除していたらプラスチックっぽい素材の何かの部品が出てきました。プラスチックの普及は1960年代以降です。
プラスチック図書館
http://www.pwmi.jp/tosyokan/02_rekisi.html
これが耕作痕跡の年代を直接表すわけではありませんが、新しいものが混ざる地層であることだけは確かです。さあ、これからガンガン掘っていきますよー。
調査員
(2018年06月27日)
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発掘現場の生き物たち その2

調査員の阿部です。
今日は表土掘削が終わりまして、道路側の調査区境界のトレンチ(開渠:かいきょ。)掘削をしました。
調査区の四周はトレンチを掘ることが多いです。
理由の一つは、地層の記録のためです。トレンチのなかなら全体の掘削に先立ってより深く記録しておくことができますし、周囲なので調査の邪魔になりにくいのです。地層の記録は、歴史を扱う考古学にとって、時間の前後関係を表す生命線なので、とても大事なのです。
もう一つの理由は、雨対策。調査区は周りより掘り下げているので、雨が降ると水が溜まりやすいです。発掘調査では土の違いを見極めることが必要ですから、そのコンディションももちろん大切。もし水浸しにしたりプールのようにしてしまったら表面が泥と化しますから、また削り直しになります。削ればそれだけ土が減りますから、記録すべき形状がどんどん失われ、変わってしまいます。ようするに台無しなわけです。
そういう事態を防ぐため、予め周りに溝を掘ってそこへ流れ込むようにしておくのです。水がかなり溜まればだいたいはポンプで汲み上げたりして排水します。雨が降った後に湿った土を乾かすことにも役立ちます。・・・基本すぎて書くのが恥ずかしいくらい基本です。
で、そのトレンチの画像を笹山日記用に撮るのを忘れていましたので、画像は今日もいきものです。
今日の生き物は、キタアオオサムシさんです(もちろんgoogle画像先生のお世話になりました。)。緑色のグラデーションが美しいですね。トレンチに落ちていたので助けてあげました。いい虫生を!
調査員
(2018年06月26日)
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なにムシ?

調査員の阿部です。
今日もひたすら表土掘削。表土を重機で取り除くわけですが、これだけでもいろんなことがわかります。
昨日は段々畑になっている畑の際を剥いだら、下から耕作痕跡が出てきました。畑と畑の間は、昔から決まっているようでいてそうではないということ。畑に土を盛って、そこに段々畑の新しい境界が作られ、しかもそれぞれの持ち主が違うと。
いま耕している方々も知らなそうだったので、もっと前のことなのでしょう。
今日は今日で、昔の水の道が見つかりました。発掘現場では「自然流路」という言い方をしています。人が意図して作ると直線的だったり角度が一定だったりで決まった形になるのですが、自然流路の場合はもっと漠然としています。
この流路が土で埋まり、その上に現在の畑がありました。流路の落ち込みは現在の地形に全く反映していないので誰も気づかなかったとお思います。
表土掘削をすると草むらや地中のムシが顔を出します。今日たくさんいたのはこれ。
なんていうんでしょう?子供の頃「ゴミムシ」と呼んでいたものがこれに似ている気がしますが・・・
調べてみたら、オオヒラタシデムシ、というらしいです。google先生さすがです。
しかもその幼虫の画像もヒットしまして、見た見た見た!と叫びそうになりました。現場で細長いダンゴムみたいなのがいるなと思って見ていたんです。あれは幼虫だったのかーそうかー。
なお、現場で見たいきものシリーズは、以後もアップ予定です。
調査員
(2018年06月25日)
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絶賛表土掘削はじめました

調査員の阿部です。
今日から笹山遺跡の第11次発掘調査が始まりました。
砂利駐車場を作るので、その前に、という感じの調査です。
今日はショベルカーで表土を掘削しました。
掘り始めると近隣の方々が見にきてくれたり声をかけてくれたり、
なんともありがたいことです。
「なんか出らん?」
「今回は縄文じゃなく中世なんですよ」
「なあんだ(ガッカリだぜ)」
という感じでして、なんとなくすみません的な気分になるのでした。
できればですね、
「大井田家の埋蔵金とか出ちゃったりする?!」とか、前のめりでパンチのきいた質問が欲しいですね。
その時のために、夢物語100%の回答を用意しておきますので、皆さんもふるってお越しください。
あ、そのときは是非とも調査区に入る前に声をお掛け下さいね☆
阿部
(2018年06月22日)
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また始めます。
今週の金曜日から、始まります。
何が始まるって、笹山の発掘調査です。
今年は中世面を掘ります。
今日は一緒に調査する測量会社の方々と現地打ち合わせ。
調査区の枠が確認されました。
それにしても、この季節の雑草の生育のよろしいこと。
3週間前に刈ったということでしたが、すでにボーボーです。
綺麗に刈ってからショベルカーで表土を剥ぎます。運転はもちろん僕、
・・・って、そんばことはありません。土木会社のプロの方がします。
いまや発掘調査は測量・土木会社の方々と一緒にするのが普通になりました。餅は餅屋なのです。
調査員
(2018年06月18日)
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笹山遺跡ガイドツアーは予想外の需要が

笹山遺跡のガイドはもう覚えてないくらいしてきたような気がしますが
笹山じょうもん市でのガイドは初めて行いました。
いままでにも何度もしようと思いつつ、いろんなプランの運営で手一杯でできなかったのですが、今回は実行委員会の強い要請で実現に至りました。ある意味で感謝です。
午前と午後に1回ずつ。午前は小学生のご一行。先生が一緒の5年生と6年生でした。授業の一環なのでしょう。そういう需要があるとは予想外。一般のお客様が悲しいかな「ゼロ」だったので、これ幸い、どうせならと「スタンプラリー」をあわせてやってもらいました。
おかげで楽しく進められたものの、子どもの興味の比重は明らかにスタンプにあり、最後の笹山縄文館の展示室では、スタンプラリーの景品に群がってしまい、説明聞いていたのは数人・・・・。授業ではないので「説明聞こうね僕たち」とも言えず、あきらめました。
会場は土偶消しゴムでごった返しており、もうハチャメチャな大盛況ぶりでした。写真を撮った気がしますので、そのうちアップします。
調査員
(2018年06月05日)
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土偶消しゴムは絶好調

恒例の土偶消しゴムは、大盛況でした。
中条小学校の低学年さんたちがたくさん来てくれました。
粘土消しゴムを練るのに、もうちょっと力がいるかなーとか、練るのに夢中で「型」に詰めるのを忘れる子がいても、スタッフがサポートしてあげたら簡単簡単。
最後には「またおいでね〜」という気持ちでした。
現場ではむしろ、地域活動に参加するという趣旨の中学生たちへの教育のに力を割いていた、という声もありました。そういえば営業中、僕も2度か3度、中学生に声をかけさせてもらいました。
大人って、小学生に対しては「何も知らない子ども」とみなして接しますし、高校生にもなると「ほとんど大人」として扱いますが、中学生に対しては・・・。わかっているのかわかっていないのか、、、個人差が大きいのか、????です。
いろんな意味で「総合学習」なのだと思いました。
調査員
(2018年06月05日)
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ささやまムラ クイズラリーはもっといける

クイズラリー参加者が今年は80人でした。概ね成功と言えますが、昨年120人に比べるとだいぶ減りました。備忘のためといってはなんですが、ここに記録を残しておきます。
じょうもん市終了後、受付に置いておいていたチラシ(700枚)を回収したら、なんと半分も消費してないことがわかりました。これには心底ガックリきました。
そういえば、昨年のようにチラシを手にして3階に上がってくるお客様を見かけませんでした。早く気が付けばよかったですね。
新潟県人がみんなシャイなのはわかっているけども、呼び込みや声がけが少なくて、せっかくのいいコンテンツがもったいないと思います。
雪まつりのとき、「博物館ひろば」で竪穴住居の喫茶店の呼び込みをしたことがありまして、呼び込みで声をかけまくってあっという間に満員御礼にしたことがありましたが(武勇伝)、呼び込みを休憩すると閑古鳥が鳴きました。呼び込みの効果ははっきりしているのです。
じょうもん市の受付は放送と並んで重要な広報の中心で、ここでの口頭案内はすごく重要です。何が面白くて、何を見るべきなのか、とくに受付に来る人は予め要点を知りたがっている人と思います。それから、ぶらぶらしている人も、面白そうなものを探しているので、そういう時の声がけも大事なわけで。
もうひとつの反省点は、特別賞だったようです。十日町でいちばんの名人が作ったミニ土器でしたが、抽選にあたった小学生がこれを受け取った時、「一瞬で表情が曇ったw」との報告が上がってきました。
笹山→国宝→土器なんだから直球の景品なわけで、その出来栄えも「さすが!」といえる逸品でした。きっと大人なら喜んでくれるはずですが、こどもが相手となると、どうもそれ以前の部分で改善の余地があるのかもしれません。なお、この景品を考えたのは私です(自爆)。
あとは、ラリーの受付は3階よりも広場会場にするほうがいいかも、という声もありますので、これも改善していけるでしょう。課題はイージーなので来年は200人を目指しても大丈夫と思っています。
みなさんお疲れ様でした。
調査員
(2018年06月05日)
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第19回笹山じょうもん市2018 当日

片付けが終わり、会場はもぬけの殻。
兵どもが夢の跡です。
今年も盛り上がりました笹山じょうもん市。
いろんな方の愛と努力と、いろんな方の力の結晶が、
こんなかたちになるんですね。
笹山縄文館の2階から誰もいない広場を眺めながら、
なんだかちょっと感動していました。
で、内容の報告はまた今度にするとして、人数報告だけ先にさせてください。
笹山じょうもん市入場者数 3,500人(昨年3,300人)
文化財課・いおサポのブース 366人(昨年312人)【内訳】土偶消しゴム120人(100人)、クイズラリー80人(120人)、見学130人(50人)、ガイドツアー22人、その他14人
どこも非常によく頑張っていました。
全体として昨年を上回る成績になりました。細部はいろいろあるかもしれませんが、終わり良ければすべて良し。めでたしめでたしなのです。
最後の表彰式で文化財課・いおサポは「楽しかったで賞」をいただきました。とても光栄なことです。昨年の「縄文らしかったで賞」に引き続き2年連続の受賞となりました!みんなすごい!
みなさん大変お疲れ様でした!
調査員
(2018年06月03日)
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笹山じょうもん市 前日準備
今日もせっせとじょうもん市の準備に勤しみました。
文化財課の展示準備とあわせて「いおサポ」のお店のお手伝いもしました。
当初考えていたテーブル配置は、やっぱりというか、現場を前にすると「やっぱちがうな」となるのが常。しかたないので、腕組みしてしばらく考えてから「うう〜〜〜ん,,えい!」と決めました。何年かやってきて初めての配置になりました(ただの自己満足)。
ご無沙汰の方がお手伝いにみえたり激励に来てくれたりして、うれしいこともありました。
それから、いおサポさん運営の「いきなり!縄文キャンプ」の準備も同時進行で行われていて、お話を聞くことができました。着々と進んでいるのが感じられました。すごく楽しいものになりそうです。
さてさて、僕は明日、笹山遺跡ガイドツアーやります。ともに30分くらいです。
1回目:11時15分
2回目:13時00分
竪穴住居前集合。ぜひご参加ください。
あ、そうだ、屋台村の中に十日町のジビエを出すお店があるようです。じょうもん市でのジビエ提供はいずれ手がけたいと思っていただけに、「やられた」と地団太を踏みました。忘れずに寄りたいと思っています。こちらも楽しみです。
調査員
(2018年06月02日)
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笹山じょうもん市の準備
いよいよ明後日に迫ってきた「笹山じょうもん市」。
今年はいおサポさんとの協働で行うので、これまでとは少し違った力の入れ方をしており、
それだけにいつもと違った部分が筋肉痛です。
笹山縄文館内・外の案内貼紙とか作っていただいてるんだろうか?とかが心配になる、心の筋肉痛です。
さて今年、文化財課・博物館がらみでは、次の企画を打つことになっています。
国宝・火焔型土器No.1高精細レプリカ展示
笹山遺跡出土土器・パネル展示
笹山遺跡ガイドツアー
ささやまムラ クイズラリー(運営:いおサポ)
土偶消しゴム(運営:いおサポ)
縄文フェスin笹山(主催:信濃川火焔街道連携協議会)
いっぱいですね。いろいろありすぎて悲喜こもごもです。「こもごも」って、漢字で書くと「交々」だそうですけど皆さん知ってましたか。僕は知りませんでした。
ちなみに「まちまち」は漢字で書くと「区々」でして、昔論文にこの漢字を書いて下書きを先生に見せたらアンダーラインが引かれて戻ってきた、というどうでもいい記憶が呼び起されました。
明日も準備にいそしみます。
調査員
(2018年06月01日)
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